首里手愛好会/Society_of_shurite_fans

空手の型をやっていて思うこと

ほぼ雑談―ナイハンチ

 10年くらい前、名古屋の本屋で月刊空手道を立ち読みして、その中で空手の型の名称が3の倍数になっているといったような記事を見かけたことがある(うろ覚えです)。新○氏による記事である。それがどうにも気になって、バックナンバーで探していたところ、アマゾンで2015年10月号に「沖縄空手・数字の法則」とのタイトルを見つけたので購入した。ただ、その雑誌の表紙には「古流ナイハンチ」のタイトルがあり、目当ての記事よりもむしろそちらの方が気になってしまった(↓これ)。

Amazon.co.jp: 月刊空手道&フルコンタクト 2015年 10 月号 [雑誌] : 本

 

紹介されていたのは一心流のナイハンチで、古流・競技化の影響を受けていないとは言え、筆者が「原型に近いのはこれじゃね?」と思っていたものとはかなり異なり(筆者の主観です)、少々驚くとともに、「これは古い時代に改変されたものということであって、原型に近いという訳では無さそうだな」と思った。少なくても松村宗昆が伝承したものではなかろう。当然、ナイハンチフリークと化した筆者はこれも(カタチだけ)覚えたけど・・。その記事の中では、玄制流のナイハンチについても「昔の手をよく残して」等の記述があり、玄制流経験者としては嬉しくも思ったが、ただ、それも筆者には違和感がある。祝嶺正献の師匠、岸本祖孝が伝承したのは恐らく武村のナイハンチであり、玄制流のナイハンチのかなりの部分は祝嶺先生の創作と思っているから。

アマゾンでは他に、「古流ナイハンチの研究」といった本もあり(↓これ)、中に武村のナイハンチと岸本のナイハンチが紹介されているようだったので即購入した。

沖縄空手一人稽古 ナイハンチの研究 | 華学和博 |本 | 通販 | Amazon

 

ただ、ここで紹介されていた岸本のナイハンチは玄制流のナイハンチとほぼ同じ。現代には“岸本手”というものが伝承されており、そこで紹介されているナイハンチは武村のナイハンチである。だからこの筆者は何か誤解されているのではなかろうかと思った。玄制流のナイハンチ、岸本氏の創作ではないですよねぇ(答えられる方は居られるだろうか)?

同書の後半は太極拳のようであり、筆者には知見がないので読んでいない。ただ、武村のナイハンチの下段払いに対して、「落差を使った受け」と解説されており、旋運変転、空手の二次元の攻防動作を三次元に拡張していった祝嶺先生の発想の基本原理はここにあるのかも知れないな、と思った次第。