首里手愛好会/Society_of_shurite_fans

空手の型をやっていて思うこと

ナイハンチ(26)

 ナイハンチばかり投稿して、何件目か判らなくなってしまった。多分、26件目で合っていると思いますが・・。1ヵ月くらい前、夜寝ながら見ていた動画で、気になったのがあったのを思い出したので。

 

 動画の内容は2人の組手稽古で、双方左前で構えた状態から、片方が一歩、右足を相手の前足(左足)の背後へ踏み込み、前手(右手)を相手の胸元に挿して相手の体位を後方へ崩す、というものだった。その繰り返しで、古流柔術合気道か中国拳法か覚えていないが(空手ではなかったと思う)、“面白くねぇ~”と思ってスルーした。

 その後、寝ながらふと、“あれってナイハンチの一歩目と同じだよな・・”と思いついた。ああいう使い方/解釈も有りだな、と。もう一度見てみたいと思ったが二度と探し出せていない。

 

 絵でも載せようかと思ったものの、作成の気力が湧かずご容赦。

雑談-沖縄空手の超接近技法 剛柔流で解く・・・

 先日、本屋(横浜の紀伊國屋)で標題の本を見つけ、ナイハンチの使い方に言及しているようなので興味を持ち、買って読んでみたのでご紹介。

 

 前半でナイハンチの型動作の使い方、それに関連付けて那覇手の型との共通点・使い方の解説、那覇手の型としてはセーパイ、セイサン、サンセール等。

 後半は前半の流れで那覇手の型、サイファー、セーユンチンの使い方の解説.

 

と言った感じ。

 

 小生は「隠されていた空手」を先に見ているのと、海外からの分解動画も散々見ているので、多くの部分は“そうだよなぁ”って感じでしたが、以下の箇所は興味を惹かれました。

 

① セーユンチンの右中段横請けに左手を添える動作で、船越義珍のバッサイの最初の一歩目の踏み込み動作も同様に解釈できると言ったところと、その際の交差立ちは投げの体勢に入っているとのこと。

あの交差立ちは相手の懐深くに入ったあと、後方に大きく下がるための“タメ”のようなものと思っていたが、投げ・・。確かに交差立ちからの振り返り動作は柔道の背負い投げ(?)とかに繋がりそうである。「隠されていた空手」は単身赴任先に持ってきていないが、今度名古屋に帰ったら読み返して見ようと思った次第。

② 玄制流で両掌を前方中・下段に押し出す動作が型(阿吽の型と確か人位の型)の中に出てくるが、サイファーの回し受けの動作の解釈が使えそうだなあ、と思ったところ。

 

 この本を見ると那覇手も技の使い方は首里手と同じみたいだなぁ、と思いました。前も書きましたが、興味本位で随分沢山の型を覚えてしまったので、今更新たに型を覚える気はありませんが、なかなかの良著だと思います。

 

欠伝型-玄制流の阿吽の型(2)

 先日、投稿したのだけどいつの間にか消えてしまったようなので再掲載します。

 酔っ払ったときに何か(誤操作?)やらかしたか・・。内容は変えていない積りです。

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 玄制流の阿吽の型はS.I.先生から教わったが、「祝嶺先生が新空手道教範に載せなかったんだよなぁ」との話を聞いてノートに当時、その動作を書いておいたと記載したことがある。

欠伝型 - 玄制流の阿吽の型/Lost Kata - Aun of Genseiryu - 首里手愛好会/Society_of_shurite_fans

それに対して、玄制流をやっているという方から、そのノートを見せてくれませんか、とのコメントを戴き、出せそうなら当ブログに載せておきますと回答したのでそのまま載せておきます。自分用の備忘録なので、いろいろ、ご容赦下さい。

 

 一度でも教わったことのある人なら多分、これだけで十分判ると思いますが、全く知らない人は多分無理でしょうから以下、補足を書いておきます。番号は上記ノートと同じ箇所を意味しますので、ノートと合わせてご覧下さい。筆者のイメージでは「この型は太極拳から来ているのかな?」と思ったくらい、呼吸に合わせてゆっくり、大きく動く型です。また、玄制流の型は通常、相手側に真っ直ぐ足を向けますが、ここでの不動立ちは20°くらい、相手に対して体を開いたカタチです。

 

① 用意は玄制流の空手型教本に掲載されているワンカンやローハイの用意と同じです。両手開掌のまま合わせて下ろした状態。

② 右上に方向を記載していますが、文章中の前後・左右は固定座標系なので左と言ったら最初の用意の姿勢の時の左方向を意味します。最初の捕手は左手開掌で中段外受け(流派によっては内受けと称します)から手のひらを返して取手。船越義珍の半月の取手と同様。そして不動立ちのまま寄り足で右掌底逆突き。左にもう一歩踏み込んで(不動立ち)右手で取手、寄り足で左手掌底逆突き。

S.I.先生からは、歩幅を大きく取って腰を落とし、受け動作の時にゆっくり呼吸を吸い、逆突きでゆっくり吐く(動作もゆっくり)と教わりました。吸ったら下丹田に落として腹の底から吐き出すようなイメージ。

なお、現在自分で練習する際はゆっくりとした動作で一挙動として、用意から受け動作に入るまでに吸い、受け動作から逆突きまでゆっくり吐くようにしています(参考)。

③ 右方向に同じ動作となりますが、以前も記載した通り、振り返り動作の際は差し足をして一度えの字立ちになってから振り返り動作となります。振り返り動作は以後同じ。

④ 上記③で2回目の逆突き動作は、左足が右側に出た形になっているはずです。沈身は左足を引いて左側に玄制流の左足の前屈立ち(大きく)、顔の向きは右側です。右側の相手に対して大きく引いて体を沈めた状態。沈身になりつつ左手は開掌で顔の前をガード(手のひらが右側(外向))、右手は開掌で右方向に下段払いから左手を左腰にひきつつ、右手中段外受け→手のひらを返して取手。そこから右方向への右足前屈となり、左掌底逆突き。全て呼吸に合わせて教わったのは沈身、右手捕手まで吸気、逆突きで吐く。

⑤ 右足を引いたところで用意の位置に戻ると思います。前を向いて左足前の猫足立ち。左右に弧鎚受け(両腕を開く形)・中段両手掌底受け(右手で左へ、左手で右へ。両腕を閉じてクロス)、上下(右手上、左手下)弧鎚受け、上下(右手下、左手上)に掌底受け。この間、吸気。

⑥ 峯手の際の不動立ちは左向きとなります。峯手は右手。左手は腰。教わったのは⑤が吸気、上段掌底から峯手が呼気。ゆっくり呼吸に合わせて。

⑦ 左足は前方に挿す。えの字立ちになってから回転し不動立ち。両手を腰に引く。ここまでは息を吸いながら。ここから息を吐きつつ右方向への右手中段、左手下段で両手掌底突き。玄制流の基本型にも両掌突きがあったと思うので(今、パッと思い出せません)その要領ですが、基本型にある中段・下段の受け代え動作は入りません。右足を挿すのも前方へ。左側に同じ動作。中段・下段は左右逆になります。

⑧ 息を吸いつつ右方向へ左手中段外受け(握り拳)、吐きつつ・左手は腰に引きつつ逆突き(握り拳)。右へもう一歩進み、左右逆手の同動作。

⑨ 右足を左側に挿して左側に左右逆の⑧同動作。

⑩ 左側に左足が出ている状態なので、それを引いて前方へ向いて左足一本で鷺足立ち(吸気)になりつつ左手は開掌で顔面ガード、右手は開掌で下段に落とす。玄制流のローハイに出てくる形と同じ。

⑪ 右足を挿す方向は後方。回転して不動立ち。左手を右腰、右手は前方への牽制(抜き手)してから左手で前方への取手(開掌での中段外受けから手のひらを返す)。ここまで吸気。吐きつつ右手掌底逆突き。

⑫ 省略

⑬ 右後方に前屈立ちで沈身。顔は左前方。右手開掌で顔面カバー、左手開掌で下段払いから中段外受け→手のひらを返して捕手。ここまで吸気。吐きつつ右足を左前に進めて取った相手の腕の肘に右掌底突き。左手は腰。左斜め前の相手に対して電光へ左掌底逆突き。

⑭ 右足は湾曲に一度引いてから右前へ。右前に⑬と左右逆で同動作。

⑮ 左足を左後方へ引いて左後方へ前屈。顔は右前。開掌で左手顔面カバー、右手開掌下段払いから中段外受け・手のひらを返して捕手(左手は腰へ引きつつ)。ここまで吸気。右前へ右足前屈となり、呼気で左掌底逆突き(電光狙い)。そのまま正面へ左手帆立構え。左足を引いて前方へ八字立ち(用意の姿勢)となって直れ。

 

いろいろな教本とか見てきて、動画かせめて写真を載せないと/文章では難しいだろうな、とは思いつつ。当時、玄制流のワンカンやローハイの存在を知りませんでしたが、用意の姿勢、鷺足立ち、掌底の使い方等、共通点が多いですね。もし、これも比嘉清徳氏から祝嶺先生に伝わった型であれば、玄制流以外に残っていそうな気もしますが・・。

玄制流の型(2) - 首里手愛好会/Society_of_shurite_fans

 

上記文章中、捕手と取手が混在していますがワープロの変換を一々直さなかっただけで同じ意味です。

雑談

 筆者は60目前で単身赴任となり、休職派遣で他社のお世話になっている。定年に向けての準備ってとこか・・。その会社に50くらいの極真をやっていたという方が居られる。

 普段、特に話をすることもない関係の人であるが先日、帰りのエレベータで一緒になったとき、『年齢の割に筋肉質の体を見事に維持されているなぁ』と思ったので、「○○さん、極真は未だやられているんですか?」と聞いて見た。返事は「いえ、もうやっていませんし、無理です。今やったら壊れます。既にいろいろ壊れていますが・・・。」とのこと。

 筆者も昨年か一昨年か、近所の柔術教室へ行くことを見送ったし、昨年○野さんの講習会に行った後はパンチを喰らった胸の痛みと苦しみ(息がつらかった)に1ヵ月悩まされ、握手落としで捻挫した手首の痛みは3ヵ月くらい続いてピアノを弾く際に辛い思いをしたことを思い出した。年を経てから一度体を痛めると回復にとても時間を要するし(年配者は、筋トレ後の筋肉痛は2日以上経ってから出るって言うのは本当です)、何かをやる都度、その痛みに辛い思いをする。若い頃は痛さなんて気にせず、動けるなら平気で動かしたし、回復も早かったが・・。

 本来、空手の対人技は組手でしか練習できないし感覚を養えないものだと思っており、松濤会系の富士通の道場へお邪魔しようかとも思ったが知り合いに会いそうなので見送った(ネットで調べていたら知り合いの名前の木札がその道場の壁に・・今更その後輩になる気はない)。結局、型しかないかぁと思った次第。GWで名古屋へ帰ったときは毎朝自主トレへ行ったものの、単身赴任先に戻ってからはサボり気味。自主トレを始めて15年くらい経つと思うがどうしたものか・・・。

玄制流の型(2)

 先日祝嶺先生が話をされている動画を紹介しましたが、以前、玄制流のワンカンとローハイは伝承が判らないと記載したことがあり、先日の動画のワンカンを見ていて以前竜奇さんから戴いたコメントを思い出して改めて見てみた。

古伝の型-ワンカン、ローハイ/Traditional Kata-Wankan、Rohai - 首里手愛好会/Society_of_shurite_fans → 最下段にコメントを公開してあります。

 

 その中で比嘉清徳氏の神道流武芸館のワンカンとローハイの構成が玄制流ととても似ている。他にも糸東流の松風や松源流、松林流等も似ているが、比嘉清徳氏は岸本祖孝氏の弟子(祝嶺先生の兄弟子)なので、祝嶺先生との交流もあったと思われる。よって、泊の武士から比嘉家に伝承された(竜奇氏コメント参照)ワンカンとローハイが祝嶺先生に伝わった可能性が高そうである。

 そうすると玄制流の伝承で判らないのは残り、阿吽の型とバッサイ小(以前記載したが松林流等に構成が似ている)の2つの出自であるが、バッサイ小は泊手の型と思っており、これらも比嘉清徳氏経由なのかも知れない(阿吽の型も遠い記憶であるがS.I先生が泊手の型と言っていたような気がする)。

 

 因みに、ワンカンとローハイは泊の武士の名城政好(多分、里之子)親雲上→ 比嘉民真氏→ 比嘉清徳氏と伝わったとのことなので名城親雲上について調べてみたが真壁村の脇地頭に名城里之子親雲上と言う人物が居たらしいということしか判らなかった。真壁地区の名城村は沖縄本島の南端であり、泊地区とはかなり離れる。その子孫か縁者でも泊地区に居られたのだろうか。

   

   (出典:糸満市教育委員会 旧真壁村集落ガイドマップ)

 

松村正統少林流(ナイハンチ)

松村正統少林流の約30年前に撮られたという動画を見つけた。

 

Shorin Ryu Matsumura Seito Karate Australia Kata by Ron Goninan~Sensei - YouTube

 ・~ 1:33 見たことがないが、基本型の模様。

 ・~ 5:07 ナイハンチ(初段、二段、三段)

 ・~ 8:00 ピンアン(初段・二段)

 ・~12:29 バッサイ(2種:大・小?)

 ・~14:32 チントウ

 ・~17:20 公相君

 ・~19:56 ウーセーシー

 ・~21:45 ローハイ

 ・~25:07 津堅の棍(チキンヌクンと言っているように聞こえるので多分)

 

 30年前と言うと筆者は30歳頃で、ついこの間(ごく最近)のように感じる。この中で興味を惹かれたのはナイハンチ初段と三段の2つ。

 ナイハンチ初段では鉤突き・中段受け代え動作の後、波返しから左右に中段受けする箇所があるが、2本目の中段受けを正面に向けてやっている。祖堅方範氏の動画(↓)を見ると左右に受けているので恐らく改変されているのだろう(カメラを意識して目線は正面を向いているようにも見えるが・・)。

この部分は、どのような解釈(所謂分解動作)で改変されたのだろうか。

 

Soken Hohan shinshii, Naihanchi Shodan & Nidan 祖堅方範先生 ナイハンチ初段と二段 - YouTube

 

 また、船越義珍先生ベースのハイハンチ三段は、最初の中段受けから左右で受け直した後、中段受けをパタンと倒す動作があるが以前も記載した(と思う)ようにこの部分~の解釈が小生はイマイチはっきりしていない。その部分が上述の動画(3:56~)では、下段交差受けとなっており、その後、側面の中段受け、正面内受け、正面への突きとなっている。連続動作としてはこちらの動作の方が素直で解釈し易そうに思われる。残念ながら祖堅方範氏のナイハンチ三段の動画は見つからず。

 一つのパターンとしてしばらくこの動作の練習もしてみるか、と思った次第。

柔術(3)

 またYoutubeであるが、“柔道の古い手首のロック”との動画で、写っていた写真が船越義珍氏の教範に載っていたナイハンチの変手の写真によく似ていたので(下記左)興味が湧いて見てみた。

 

www.youtube.com

 

 見ると白黒動画で古い柔術の映像があり、突き・鉄槌・手刀・蹴り、上段上げ受けからの取手、最後の方では棒術も出てくるので、昔の空手の映像だと言って紹介したら皆さん、信じるのではなかろうか。

 動画に出てくる写真(何かの教範?)は、解説にArima’s Judo handbook of 1919と記載されているので調べたところ、有馬純臣著1914年発行の柔道教範のようである。上記146-147ページの写真等、同じ物であった。国立国会図書館からインターネット公開されているので、ダウンロードしてざっと見てみたが残念ながら突・蹴等の動作に関する解説は無かった。ただ、柔術の起源・伝承に関する解説があるようなので後日じっくり読もうかと思った次第。以前記載したけれども柔術の起源として「垂仁天皇7年(西暦紀元前23年)に宿禰と蹴速が角力で足を挙げて蹴り合い、脇骨を蹴折り・・当時は相撲柔術の区別もなく・・柔術に酷似した・・」等の記載があった。