首里手愛好会/Society_of_shurite_fans

空手の型をやっていて思うこと

本部朝基氏の唐手

先に“日本武道・武術大事典”に基づく空手組織の近・現代史を掲載したが、同書を見ていて違和感を感じた箇所があったので原文そのまま紹介しておく。

本部朝基は武才に秀でていたが、三男だったため一子相伝お家芸であった本部御殿手は正式に学んでおらず自己流の唐手術ではあったが、それだけに型よりも組手を重視し、その実戦強さには定評があった。」

違和感、感じませんか? 本部朝基氏と言えば松村宗昆氏の弟子であり、糸洲安恒氏の弟子でもあり、糸洲氏の改変によるナイハンチの立ち方(亀小立)に関する松村宗昆氏とのやり取りも現代に伝わっている。さらには松茂良耕作氏からの伝承も受けている。それが自己流の唐手術??

んな、馬鹿な! それなら現代の空手の素になった唐手って何? 

和道流開祖の大塚氏も本部朝基氏に教えを請うている。本部朝基氏の唐手が本物でしょう!

と思ってしまった(ちなみに、今野敏さんの小説(義珍の拳)が事実に基づくなら船越義珍氏の唐手も本物です)。本部御殿手を正式に学んでおらず、というのはそうらしいので、本部朝基氏が本部御殿手を名乗っていたなら自己流と言うのは理解できないことはないが、唐手術なら上記表現は違うと思う。

だから、唐手・空手に関する各種文献、ただそのまま鵜呑みにするようなことはしないようにしている。