首里手愛好会/Society_of_shurite_fans

空手の型をやっていて思うこと

ナイハンチ(25)-移動時の波返し動作

 自主トレでナイハンチの練習を欠かすことは無いが、先日、相手を想定しながら順を追っていて“アレ?”と思ったので参考まで。

 相手の背後に廻ってその突き手を下段払い動作で取って下げ卸し、捻り上げながら鉤突き動作で肩関節を極める。以前も紹介した動作である(「隠されていた空手」がベースです)。

 その時、相手は目の前で鉤突きの方向につんのめった形になるので、相手の膝裏を踏みつけたら良いんではなかろうかという気になった。下図であれば、義珍氏左足の波返しで相手の右膝裏を踏みつけ、跪かせるような動作となる。

   

       ↑錬膽護身唐手術より

 

 その流れで考えると、次の一歩は相手が跪かなかった際の膝蹴りとしたらどうだろうと思った。上図では義珍氏の右膝となる。 

 以前、ナイハンチの移動動作は、人によって(流派によって?)波返しを入れたり、足を真っ直ぐ上に上げたり等、動作が異なることを紹介したことがある。一方で、船越義珍先生の琉球拳法唐手・錬膽護身唐手術、本部朝基先生の私の唐手術等のナイハンチでは、移動の際に波返しを入れるような記載はない。だから、その動作は、昭和初期に膝まで泥に埋まるような田圃で稽古していたときの(移動動作の際に泥から足を引き出す動作の)名残では無かろうかと記載した。筆者はそれ以来、船越義珍先生の初度の書籍、本部朝基先生の書籍等に従い、移動の際、波返しは入れずに練習している(やろうと思えばできるようには練習している)。

 ただ、上記のように考えると移動時の波返しや、膝を真っ直ぐ上に上げる動作も意味がありそうである。筆者は長年空手をやっていて、右の相手に背手・猿臂、背後(左)の相手(右側とは別の人物)からの下段攻撃に対して下段払い・鉤突きといった教えだったから、そんな教えを聞いたことはありませんが・・。

 

 ちなみに、琉球拳法唐手では、同箇所は以下のような写真が掲載されている。この場合、左足は波返しではなく、相手の足を踏み越え、そのまま足を引っ掛けて相手をうつ伏せに倒すような動作だろうか。

    

     ↑ 琉球拳法唐手より