首里手愛好会/Society_of_shurite_fans

空手の型をやっていて思うこと

雑談/ご参考-菊野さんの誰ツヨDo-Joy体験

 久し振りに。口頭ですがブログに載せることについて一応、ご本人に許可を頂いたので。以下、長くなります。

 

 菊野さんの誰ツヨDo-Joyをご存知だろうか。菊野さんは総合格闘技のチャンピオンであるにも関わらずナイハンチの紹介動画をいくつか出されていて、その他の解説でも説が振れるようなことも無いし、共感を感じることが多い。そんな折、下記動画の概要欄からたまたま講習会の案内を見つけた。比較的場所が近いし日程も問題無さそうだなと思ったので申し込んで行ってみた。

 

子供ができてから自己投資は止めようと思っていたものの、最近単身赴任のせいか、今更講習会なるものに行くとは・・。ただ、ナイハンチの関連情報を得られるかも知れないとの期待感には抗えなかった。“キツいことや組手はやらない”というのも衰えきった筆者を後押しした。

 

 参加者は昔フルコン空手をやっていたという人(比較的年配者)が多い印象であった。結構恰幅の良い若者もフルコン経験者とのことで、63歳のスタッフの方が「受けてご覧」と言って出した突きを受ける動作を見ていたが、流石になかなかのものであった。また、その他の方々も組んで押したり引いたりする中で話した感じは好感の持てる人達ばかりであった。

 

やったことは

 ・仰向けで呼吸:手足の末端まで呼吸が行き渡るような意識をする。

         リラックスして力を抜いて末端まで意識して。

 ・指で輪を作る:二人組で、一人が指で輪👌を作り、もう一人がそれを離す。

         何もしないときに比べ、上記呼吸を意識すると、輪は非常に硬く、

         離し難くなる。

 ・体重:二人組で仰向けに寝た人の腰を持ち上げる。

     寝た人が上記呼吸を意識すると、重さが違う。持ち上がらない。

     通常は腰の重さだけであるが、上記呼吸を意識すると体の遊びが無くなり、

     腰を持ち上げようとしても全体重に近い重さが掛かるので初動の重さが

     変わるとの解説であった。

 ・相手の動きによってバランスが崩される/相手を崩す。

  ☑ しゃがむ動作:相手の胸に指を軽く当てる。相手がしゃがむ時にそのまま

          突っ立っているとバランスを崩す。微力ながらも相手方向に

          力を掛けているので当然である(と言っても言われないと

          なかなか気付けない)。

          バランスを崩さないためには相手に合わせてしゃがむしかない。

          どちらかが緊張していると体感できないとのこと。

          小生は「腰回りがちょっと硬いですね」と言われた。

          「この辺」と触られてから多少良くなった感じ。

  ☑ 爪先を搔く動作:棒立ちで相手に手首を持って貰い、爪先を搔くために前屈み

          動作をする。菊野さんに手首を持って頂いた。

          その場で膝を曲げて屈もうとすると押さえられてできない。

          前屈みに爪先に手を持っていくと相手の重心位置(支点)を

          ずらして下げる形になる。菊野さんでもバランスを崩した。

  ☑ 立った姿勢 :棒立ち状態で相手に指先を軽く引き下げて貰ったり、手首を

          持って軽く押し上げて貰ったり。

          その時に体が僅かにでも動く(崩れる)と体が一体化/連結して

          おらず、遊びがある状態とのこと。最初の呼吸を意識して

          力まず。そこで手首を持って貰った時にしゃがむと相手の体を

          自分の体重で押し下げる形になり、相手が崩れる。

 ・相手の鼻先へのパンチ(当てない。パンチされた側がどう感じるかという

  もの。):体(スタッフの方は“フレーム”と表現していた)を動かさず、手を

       先に出す。体が動かなければ相手は気付かず反応できない。

       セミナーで実際に組んでやったのはここまでであるが、手が出れば

       (余計な力が抜けていれば)体が付いていき、手に体重が加わる、

       との解説。

等。筆者の文章能力では表現仕切れていないと思われるので、興味がある方は行ってやってみて下さい。

 

 セミナー中、実際に何度か全員が転がされた。全員に体験させる/全然バラバラの経歴の人達全員にそれができる、というのは流石。動画にもあったが、最初の方で握手した状態から派手に転がされた。全員。体を崩す説明の際、「合気道を云々言う人も居るが、あれも物理現象/人体の普通の反応です」、との解説。全くその通り。

 

 突き(パンチ)の解説では、近距離・中距離・遠距離で突き方が変わるとのこと。中距離では体から動くと相手に悟られる。体(フレーム)を動かさず、手を先に出すとある程度のところまで相手は反応できない。その数cmが非常に効果的であり、手だけが先に動いてそれに体が付いて行って手に体重が乗る。全身が一体となって遊びの無い状態を作って足先から手までの重量・力を手に乗せる。この教えが筆者の大学空手部(江上空手)の突きととても良く似ていた。この辺の解説時に「ちょっとどついても良いですか」と各人の胸に“ドスン”・・。動画にもあるが軽く小突く感じであるにも関わらず、とても重い衝撃が胸に・・。キックボクシングでグローブをはめた際にはグローブの厚さ分が遊びとなってしまい、重さを伝えることができなかったとのこと。何故かを考えてグローブの厚さ分も自分の体の一部と考えて一体化させることで、重さを伝えることができるようになったとのことであった。

 近距離では最早、体(フレーム)を動かさず何てことは考えず。遠距離ではまず体から動かさざるを得ないとの解説であった。おぉ成程、と思った。筆者の大学空手部の突きは中距離前提か・・。

 

 一連の稽古で菊野さんから2回、63歳のスタッフの方から1回、胸をどつかれた。動画にもあったように至近距離から極軽く、という感じであるがとんでもない重さである。腹に喰らったら立てないだろう。その瞬間、呼吸が止まり、心臓も一瞬止まったのではなかろうか、というくらいの感じである。数日経つが未だに痛い、というか歩く度に/胸を張る度に/前に屈む度に苦しさを感じる。効く突きを目指す方は是非一度体験されることをお勧めする。あの重さを身に付けられるなら通う価値有だろう。

 

 また、スタート前、結構念入りに柔軟をやったものの、硬かったのか最初の握手から転がされた際に手首を痛めてしまった。帰るなり湿布。足首もかなり硬くなっているなと自覚した。昔なら踵が浮くはずのないところで浮いてしまっていた。さらに正座。短秒時であっても正座するだけでふくらはぎからアキレス腱に掛けてつりそうになってしまった。正座を強要されなかったのは助かりました。

 

 相手の体を崩すことは学生時代にかなりやったものの、今回結構難儀した。やはり長年やっていないことで、対人の感覚が狂っているようである。

 

 なお、格闘技家と言うと厳い、取っつき難い/話し難い印象が筆者にはあるが、菊野さんはとてもにこやかで話易く、説が振れることもなく好感度の高い人物であった。特定の団体や流派の縛りはありません、と仰っておられていたことにも好感を持った。

 

 今回の教えを念頭に、しばらくは菊野さんの動画を見てみよう、と思った次第。