首里手愛好会/Society_of_shurite_fans

空手の型をやっていて思うこと

古伝の型―五十四歩の解釈(2)

 五十四歩についてはこれまで何度か記載したが、今野敏さんの言う“酔拳の名残”との説と、足を後ろに上げる動作(千鳥足?)を酔拳風に上手く表現できないことが気になり、そもそも酔拳ってどんなもので、どんな基本動作があるのだろうか/足を上げる動作に基本の教えがあるのだろうかと気になって、ちょっと調べてみた(ネットで)。

 いくつかの情報からすると、そもそも酔拳という流派は存在せず、各流派にそれぞれ、酔っ払い動作を模した伝承があったようである。そして、各流派の酔っ払い動作を集約したものが蘇化子の酔八仙拳ということらしい。ジャッキーチェンの“酔拳”そのまんまじゃん、って感じ。

蘇化子の生没年は何かに出ていたが(失念)、ざっくりとは1850年前後くらいの時期に青年だった実在した人物のようである。琉球王国の唐手に影響を与えたのが酔八仙拳かどうかは判らないが、もしそうならそれが紹介されたのは1866年の寅の御冠船(最後の冊封)だろう。その前は1838年(戌の御冠船)なので蘇化子はまだ存在しなかったか幼少の頃である。

 ただ、各流派に類似動作が存在していたと言うことなので、それ以前に部分的にその動作が紹介されていた可能性は当然あるし、当時清国に渡った人物が習い、持ち帰った可能性もある。ならば、その各流派の類似動作ってどんなものだろうか。中国拳法の名門(らしい)の洪家拳にもあるとのことで、捜したら動画が見つかった。

 

https://www.youtube.com/watch?v=37vfjZ0dsDQ&t=745s (17:38~)

 

 残念ながら足上げ動作はなかったが・・。これを見ていると今野敏さんの五十四歩(世の中にいろいろな五十四歩があるようなので、こういう言い方にしています)で、後方に足上げ後、両手を後方上部に挙げる動作は相手の攻撃をそちらに躱す(流す)動作、前方に向き直っての両手下段払いは、空手の分解動作で言えば攻撃してきた相手の懐に体当たり(下腹部に打ち込みつつ)だろうか。すると、後方への足上げはやはり酔っ払いに見せるためだけの動作であって特にそれ以上の意味は無さそうである・・。割り切って練習しよ、と思った次第。